男と張り合おうとするな。みごとに潰されるから。祖母の残した言葉の意味は何だったのだろう。全力を注げる仕事を見つけて、ようやく彼に近づけたのに、和歌と仙太郎の関係は、いつかどこかでねじ曲がった。心血を注いだ渾身の長篇小説
物を書く女性が主人公だとつい
角田さん自身を投影して読んでしまう。
それにしても
学生時代に知った男性ひとりに一筋の無知にも思える女性が
学生時代にメジャーデビューしたその相手を凌駕する成長株。
一方彼女が輝きを放つほどに普通になってしまう彼。
よくこんなに簡単に次の恋を始められるものだと
感心していた角田作品とは違ったけれど
きっとおつきあいしたどの男性より売れっ子と思われる角田さんではあるので
その過程には近い心理もあるかと。
祖母の存在が大きなポイントの割には
私にはその存在感が希薄な感じがして、、。
祖母と彼女のかかわりにさほど
大きな動機が感じられなかったんだけれど。