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坑夫

坑夫 (新潮文庫)坑夫 (新潮文庫)
(2004/09)
夏目 漱石

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夏目漱石を読んでいるがこの作品については存在すら知らなかった。
作品も作風も異端と言われ評価も高くないそうだが
漱石その人の全貌を知るには格好の小説という気もする。

現代仮名遣いの新しい装丁の文庫本で文字も大きく読みやすい。
簡単に読めると思ったら意外と時間がかかってしまった。
前半の心理描写が精細で話は遅々と進まない。
こんな地味な内容で新聞小説として成り立ったのかしらと気になるほど。
後半ようやく坑夫という題名にふさわしい内容になってくる。
漱石がどうしてこれほど精密に坑道についての描写ができたのか
さすがにその筆力には圧倒される。
下書きは当の体験者から委託されたというが
それが内容的にどういうものかわからないけど
小説というよりはドキュンメタリータッチの写実が続く。
と言っても描かれているのはあくまで主人公の心理&性格。
一瞬たりとも定まることなく揺れ動き続ける心理は
いちいち自分の心理を深く見つめる余裕のない日々を送る
私にはある意味新鮮。
坑道を俯瞰するように細密に描写しながら
同時にその心理まで俯瞰して描ききる作品。
内容的には5か月後に鉱山を去るときの心理まで知りたい気がする。

奇跡のリンゴ

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録
(2008/07)
石川 拓治

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先日リンゴのことを書いて、何となく今の農法のありようを考えていたら
偶然リンゴの無農薬・無肥料に取り組んだ方のことを知った。
送られてきた同窓会誌に紹介されていた
自然農法に取り組んでおられる方のサイトを見たら
たまたま本が紹介されていた。
NHKの仕事の流儀で話題になった方だそうだが私は全然知らなかった。
早速図書館でで借りてきて読んだ。
理想を現実のものにする強い意志を持った方がいらしたことと
この時期にこの本に出会えたことが不思議。
そういえば野原や山や森は最大の自然農法だったんだ。
先日雲取山を下山途中
杉の人工林の山道を歩きながら
おびただしい間伐材が打ち捨てられているのを見た。
人が植林をしたら何十年も世話し続けなければいけないはずが、
採算が合わなければ打ち捨てられる。
まだ間伐されているだけましだと思う。
それさえもされない人工林があると聞いたことがある。
自然に人の手を加えるということは
よほどの覚悟がいることで
一度人の手にかかってしまった自然を
もとの自然のサイクルに戻すには人の手を加えた以上の
時間と労力と費用が必要だということだ。
簡単に自然回帰という言葉の念仏でできはしない。
でもできないことではないと実証されたことがすごい。
巴里の空はあかね雲 (新潮文庫)巴里の空はあかね雲 (新潮文庫)
(1987/03)
岸 恵子

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母の書棚にあったもの。
帰りの新幹線で読もうと持ち帰った。
なんといっても離婚に際した岸恵子自身の描写が秀逸。
子供だった私だって
あの美しく知的で
日本の宝のような女優をかっさっらておきながら
離婚はないでしょうと思った記憶がある。
何しろ日本人で最も美しいフランス語を話すのは
スカルノ大統領夫人と岸恵子だと聞いたことがあって
この二人には特別の敬意を払っている。
イヴ・シャンピ監督の浮気で
岸恵子は青天の霹靂、浮気の実態さえ気づかなかった状態。
未練があるというより、まだ彼女には醒めることなどありえない継続中の愛のままに放り出されることに。
でもいかに監督が岸恵子にとって愛すべき存在で
その後の監督の死の後までも
疑うことも覚めることもない愛の対象だったことが痛々しい。
それ以外の散文も筆ののたつ方だということはよくわかる。
時に饒舌に過ぎるくらいに、時にユーモアたっぷりに
そしてたぐいまれな女優であり続けている彼女のひたむきな生き方や
ひとり娘の母としての頑張りもうかがい知れる。
飛ぶ鳥の勢いの敗戦国日本をしょって、成熟した美しい都パリでの上流生活。
長きにわたってフランスと日本をかけもちながら
どちらにも腰を据えきらないデラシネのまま。
どんな時も背筋の伸びた美しい女性であり続けている。
やせ我慢であろうと張ったりであろうと日本気質の赤い血を流しながら。
ただこんな素敵すぎる忙しい奥様を持った男性が
贅沢とはいえかならずしも家庭人・家族として幸せではなかったかもと
思わせるところもあるのがつらい。




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